悲壮感漂う、って感じが一番近いかもしれない。
本日、四回目のSHOCK初日。
昨年の6月にやったSHOCKというのは、私の中では一番評価の高いSHOCKですが、あの時にあっても今回なかった一番のものは光ちゃんの時間だと思います。
だから、6月にやったのと同じことなのに、なんとなく稽古時間足りてないのねえ、的なわたわた感が非常に漂ってました。
めちゃめちゃてんぱってる感じが。必死感が。
おれがやらな、おれがやらななオーラが全身の毛穴から大量噴出って感じ。
光ちゃん自身はよかったと思います。
なんですか、技術力の向上とか、やっぱり前回思う通り動かせなかった分身体のこなし方なんかは超!がつく美しさです。
今日は初日なんで、多少わたわたして余裕は感じられませんでしたけど。
ゆとりは日を重ねていけば出てくるものなので光ちゃんについてはさほどの心配はしてません。
歌、上手くなったのよ!もう「あの日・・・」なんか、はじめて生歌で聴いた頃の拳握りしめてた自分が信じられない程に。
たった一年で人はこうも変わるのか、という程に。ちゃんと声を出す練習をすれば、努力は裏切らないんだなあと思います。
今回の目玉は二幕。
一幕はまあ、変わったっちゃ変わりましたが、内容的には完全に前回を踏襲しております。
ちなみに、死んだお兄さまの名前は「ヒカル」と言うそうです。今度は金髪です。本人自己申告によると「マシューじゃありません」(笑)と。
【注:マシュー・・・「マシュー the best hit TV」という番組に出てくる、藤井隆さんの持ちキャラ。金髪ヅラ被ってます】
すごくすきだった「ジャパネスク」がまさかああもまるまる残るとは思ってなかったです。ちょっとずつマイナーチェンジはしてましたが。
龍神のしょぼさ加減が減ってたりとか(でも、あの腕のつき方は西洋のドラゴンのような気がする)弁慶の登場の仕方やはけ方が変わってたりとか。
今回のジャパネスクのフライングが一幕最大の大燃えポイント。
巻き付けるんじゃなくて、紅い布をくっとワキで締める感じで飛び立つんですが、この時の二の腕の筋肉ね!筋肉!!最高!
かっこいーーー。
フライングの時はこの腕のぐっとくる筋肉に目を奪われましょう。素敵だから!
ただ、弁慶姿で大階段に立った時、セットが割れかけて
「ぎゃあ、落ちる!!」
と血の気が引いたりとか、前回一度たりとなかった弁慶の出のところがまるっと客席から見えちゃったりとか。もう少し丁寧にやって欲しいなあ、というかそれ、危険だから!という場面が随所にみられてそれはちょっと残念。
SHOCKは危険なので、その辺しゃれにならないっす。
特にセットが割れた時はマジ、恐かったのよ。
以来、今日の弁慶は光ちゃんが階段昇る度に「あんな高いところでセットがまっぷたつに割れたらどうしよう」と不安でなりませんでした。そういうの勘弁してよね、もう。
グレ子さんともまさか今回も出会えるとは思ってもみず。今日も元気だったわ、グレ子さん。
船長は今日もかっけかったです。
ああ素敵素敵素敵。「あの日・・・」もよかったよう。
温泉シーンは、どうかと思いますがとりあえず光ちゃんのバスローブ姿があるのでそれを見ておきましょう。なんでこのシーンがあるのかと考えると、迷宮に陥ります。
ちなみに、この温泉にたどり着く前に例のオープンカーで走るんですが、これが!進み方が進化してました。前は右から左へしか進まなかったのが、今回は角度が変わる。90度に曲がった時はさすがに感動しましたよ。
一幕は正直、変わった部分はあまり意味を感じませんでした。
つーか、見づらくなった気がする。特にOPからステージシーンへのつなぎはあんまりよろしくないです。観客も見慣れてないからか戸惑っていたように思えます。いまいち、間がもってなかった気がするわ。
で、二幕ですが。
冒頭は13年前のNY。
とにかくここから、兄の死→コウイチのNY見物→NY公演→初日バックステージへと続く一連が新作揃いなんですがもう、めっちゃめちゃ踊って踊って踊りまくっています、光一さん。
私は観ながら「光ちゃん、死んじゃうんじゃないか」と本気で思いました。
尋常な量じゃありません。あんなもんこなせるなんて人間とは思えない。
途中でJr.による集団タップとかで息つくヒマは多少あるものの、あれはその・・・鬼ですか、ジャニさん?と思いました。
多分、1幕のジャパネスクと共に、一番の見所はここではないかと。
コウイチの率いるカンパニーの公演演目が、世界各地の場面を連続でつなぐという万国博覧会みたいなものでして。
この最初の方に出てくる、インディ・ジョーンズばりの秘境ジャングルセットに、ノースリーブちらりずむ、ヒョウ柄ワンポイント付き衣装が最高です。
ダンスも面白い。
セットめっちゃ金かかってます。
つたでのフライングとかもあったりして、目で観てかなり楽しめる作りです。ここ、ポイント。
落とした照明の中で、光ちゃんが両端が紅く光る長い棒を振り回すところなんていい感じでした。これはお気に入りです。
で、どう観てもアンダルシアな衣装とダンスだけど、別の曲を歌ってるというスペイン風(てか、シチリアがどうしたこうしたと歌詞にあった気がするのであれはイタリアなのか)のもアンダルシアの幻さえ忘れることができれば楽しかったです。
最後、なぜか、摩天楼の背後に青森ねぶたが登場するあたりは頭の中に盛大に?マークが飛び交いましたが、おなじみのFightも、かなり大胆にアレンジが変わっていて、目先は大分変わってました。
ほとんど命を削ってやってるだろうこの二幕のシーンはぜひ、目を皿のようにして観てやってください。ホント、10年経ったらいくら光ちゃんだって絶対こんなことできないから。
で、ここから下はただ「楽しかったー」という感想で締めたい方は読まないように。
観たい方だけ反転してください。ま、たかがひとりの感想なんで。
(↓ ↓この下あたりから↓ ↓)
えーと。
今回は楽しみたいと思う方はぜひとも、話を頭から切り離した方が無難です。
話を追ったら、正直今までのどのSHOCKよりもがっかりすると思います。
理由。
今回は悪霊は出てきません。13年前の兄の死も、コウイチやトウマの事故も全ては現実に生きている仲間であったはずのジュンのしでかしたことでした。
Real SHOCK
その意味は、全てを幻想や悪霊や、そういったものではなく現実にあることで決着つけるよ、ってことだったんでしょうかねえ。
それはいいんですが。
最後の最後、その決着をどうつけたかと言えば、ジュンとそれから完全に巻き添えを食った義姉の死というものでした。えーと、死んだ兄さんが助けてくれましたが、その前にシュンとコウイチも死んだり殺されたりしてます。
死にオチはやめい。
物語の中の登場人物であっても寿命とか、不可避の死というものは存在していると思います。でも、物語の結末をつけるためのとってつけたような死はどんな場合でも感心いたしません。
その上、義姉の死という大きな犠牲をはらっていながら、亡兄は
「これでおれの役割は終わった」
と満足げに天国へ旅立ち、コウイチたちは
「兄さん、ありがとう」
と見送っちゃうんですよ。
・・・義姉さん、死んじゃったじゃん。
・・・シュンたちの父ちゃん、あんなひどいことしたじゃん。
・・・絶対あれ、シュンとカズくんトラウマだよねえ。
・・・てか、ハッピーエンドじゃないじゃん。
といったいろいろがごおおおおおっ!と渦巻き、大好きな「one」が感動と共に聴けない!今回、なんとラストで光ちゃんが[New
York,New York」歌うんですが(よかったよう。ワンコーラスだけなんてもったいないよう)それも、すっかり複雑な面もちで聴いてました。
だから、別の脚本からのつぎはぎで脚本作るのやめようよ。
ラストでコウイチがお兄さんに向かって話しかける台詞は別の物語の結末なんだから。少なくとも最後の呼びかけは、今回の話のコウイチが語る言葉じゃないと私は思うぞ。
義姉さんを為す術もなく死なせてしまったことに対して、兄に対して謝罪の気持ちの一欠片もないような、そんなヤツなのか?>コウイチ
死んだお兄さんの夢を叶えるんだ、ってがんばってる子がそんなわけないだろう。
光ちゃんはまじめに、ホントによかったと思います。多少ゆとりがないのはおいておくとして。
技術力に格段の進歩あり。
帝劇という舞台に立つだけの風格とか華とかがきっちり備わっていて、ひとり舞台の上で輝く姿は眩しいほどでした。あんなに華奢なのに、一番大きく見える。
すごい人だな、と改めて思いました。
あれを観るために、私は頑張りたいと思える。
観ているだけで心が幸福になれる。光のような人です。本当に得難い。
それから「スサノオ」で予想外によくて(失礼)感心していたトウマが、すごくよくて、これも嬉しい誤算でした。二幕のソロとかよかったよう。
だからこそ。
本当にそろそろ脚本を見直そうよ、と。いっそ、ストーリーなしのショーミュージカルに徹するのもいいんじゃないかと思います。
ショー部分は本当に楽しかったから。
二幕の命を削ってやってる連続は楽しかった。インディー!!!!!
ジャパネスクがまた観れて嬉しかった。
えーと、ところで今回のSHOCKはショータイム用意してないそうで。
今回は初日でお客さんの拍手がひかなかったから、という理由で「solitude」「情熱」をやってくれました。どうかな。これは明日以降もあるいはある気がする。
てっきりやるものと決めつけていた冬コンソロの「月夜ノ物語」がなかったのはちょっとショックだったなあ。
それと、Wアンコールで最後にひとりで出てきてごあいさつもしてました。
本当に初日の幕があがるまではカンパニー全員「どうなっちゃうんだろう」と思っていたとか。
いざやってみたら、本当に体力使う、とか。
確かにしんどそうでした。初日バックステージの場面なんて、よれよれになってたもんなあ。その割に台詞の部分はするっと言葉が出てきたし。
ああいうところ観ると、きっちり舞台人として成長している座長の姿勢に感動します。
あれ、あと75回やるのか、と思うと素直に頭がさがります。私はただの一度だってできないぞ。
ともあれ、あと75回だ。がんばれ光ちゃん。
とりあえず。
初日、おめでとう。 |