■1/8(sat) 初日■


初日、おめでとう。
心から、おめでとう。いつになく今回は開場・開演とも30分も遅れてはじまりました。例年、比較的初日は早く開くという印象があったんですが今年は30分押し。コンでの光ちゃんの発言もあり、怯える私たち。どきどきどきどき。
で、内容ですが。
確かに、これだけ変えるというのは大変な勇気がいったに違いない。そのように思いました。
基本の骨組みは変わっておりません。基本の精神も変わってはいない。
ですが、今までのSHOCKとは別のカンパニーとコウイチとツバサがおりました。
ええと、感動しました。
正直なところ一幕のラストで頭の中には盛大な?マークが飛び交っていたのですが、腑に落ちなかった部分はほとんど二幕で腑に落ちた。ええと、とりあえず大体わかった。
私は今日は二階のセンターに近い席にいたのですが、とにかく二幕のショーが。圧巻でした。
石川さんとのパーカッションセッション(その前にそもそも布フライングがあって、自分の体重支えて飛んだ後であんなでかい太鼓の音を出せるのか、とそこにも感心したんですが・・・ちなみに秘密特訓というのは恐らくこの石川さんとのパーカッションセッションだと思う)の後、ちょっと観、幻炎のような銀系きらきらの和風衣装になるんですね。観ていたらフライングのワイヤーを背中に取り付けられていた。
ああ、フライングか。と思っていたら普通のフライングとはわけが違った。
帝劇の1F客席天井から降りてくる四本のはしご。それは、客席上空にたらされます。光ちゃんはフライングでその内のひとつにはりつき、それから短い距離をまるで義経の八艘跳びのごとくひらりひらりと舞い移っていくんですよ。
2Fは声にならない悲鳴でいっぱい。すごい。人間ってこんなことを考えつくんだ。そして考えたことを光ちゃんは形にできる人なんだと。
まるで夢のようでした。空中を光ちゃんが歩いているみたいだった。これは、ぜひ二階から観ていただきたい。あの衝撃はちょっと並みじゃなかったです。
魂抜かれる。
すごすぎて、倒れそうだった。あんなものが観れるなんて。なんかもー呆然。
あれは、すごいです。本当にすごい。
そこから感動しっぱなしだったんで、最後のエンディングの合唱はちょとうるっときました。なんかこーぐっとくる曲でしたよ。
劇中で光ちゃんの作曲かな?と思われるのは、一幕で歌う「GET MY EYES ON YOU」と二幕「Why don't you dance with me」「IN THE CEMETERY」あたりはガチで確定じゃないかなあ?
あと二曲の内一曲はショー部分で使われているあれかしら?くらい。あと何曲か「これ?」と思ったのがありましたが。パンフにはソングタイトル書いてあっても作詞・作曲者の名前が入ってないんですよ。教えろー。
それから、シェイクスピア好きとしては。
二幕冒頭で、アキヤマ・ツバサ・リカの心情とリンクしたシェイクスピア三大悲劇が上演されます。
何はともあれ、ロミジュリー!!!!!霊廟の有名なシーンだけの抜粋だったんですけど!まず衣装が素敵。
青のベルベット、左肩だけにかかった短いマント。似合いすぎですから。
直前の場面はリチャード三世。ツバサのリチャードに対して悪口雑言でなじる亡霊を演じていた光ちゃんが、一転、幼さすら残る声で死せる新妻ジュリエットへの想いを口にして毒をあおり息絶える場面。
これがもー!あの声にやられる。
幼い愚かなロミオの声にやられる。そして死に顔の美しいこと!!!!なんだこりゃ。ホントに私と同じ人類なのか?ジュリエット邪魔だ、そこどけー!!と思わず口にしたくなるほどに。
亡霊のハムレット王とハムレット王子の役柄があっきーとくるくる入れ替わるハムレットよりも、亡霊役のリチャードよりも、むしろロミジュリ。
やられる。ばったり。
お願いだからちゃんとやってくれ。全編やってくれ。頼むし。
ええと、ジュリエットは去年末鈴木杏ちゃん(間違いなく天才)のジュリエット観たばかりですのでコメントは差し控えさせていただきたく・・・・なむなむ。
ここのシェイクスピア三大悲劇三連発はなかなか、面白かったですよ。登場人物の心情に上手いことリンクさせてたし。
一幕ではアルバイトのシーンがよかったなあ。
面白かった。ここは、以前でしたらTourが入るタイミングですね。いかにも、ミュージカル!って場面でとても楽しかったです。SHOCKのセルフパロが最高に笑いました。
コウイチたちがオンブロードウェイで行う最初の公演が「World Adventure」なんですが、これもかなり手直しがされていました。
ラストのジャパネスクは現実の事故と芝居が交互に入ってくるのですが、あの話の原典はなんなのかよくわからなかった。
要するにツバサがリカを略奪して、リカを助けにコウイチが現れるという・・・・日本の古代劇ではありえない話で、一緒に観ていたKさんが「トロイじゃないのかな?」と言ってたんですが、うん、それが一番しっくりくるかもしれない。
ここは、光ちゃんが金色・翼くんが銀色の甲冑姿で殺陣を披露してました。物語ではツバサが仕込んでいた真剣に光ちゃんが血しぶきをあげ、大階段を転げ落ちていくという、大層痛い場面です。
このケガが元で、コウイチは死んでしまうのですが。
私は割と普通に「舞台やドラマで死んでしまう役をやると長生きするって言うよなあ」と気楽に観ていたのですが、友達はみんな「あれはちょっとイヤだった」と言ってましたね。
いくら芝居でも光ちゃんが「コウイチ」として死ぬのを観たくはない、と。
割と現実の光ちゃんが言いそうなことをいくつも台詞に込めているし、どうしても本人と重ねてしまうからキツいと。まあ、そういう考え方はあるよな。
まあ、死にネタはどうやっても賛否両論出ますよね。
光ちゃんは二幕開始早々で死んでしまいまして、ゴーストなのかゾンビなのかキョンシーなのか、とにかく死んでいるはずなのに姿は見えるし触ることもできる、という不思議な存在で登場します。リカに指摘されるまで本人に自覚はない。
急に帰ってきてみんなを驚かそうとして
「わあ!」だの「がおー」だの、飛び道具連発してました。あんた、それかわいすぎだから!
ええと、キュート・ゾンビ?チャーミング・キョンシー?それくらいな感じで。
私は割とファンタジー設定ふっつーに受け入れる人ですがほとんどのみなさんはどうしていいのやらわからない様子でおりました。
ええとね、それは結構無理め設定だと思うのね>光ちゃん
最初からこの舞台を「ファンタジー作品」として、あるいはこれは「そういう話」として観に行く場合は観る側の方に「これはそういう話」っていう気構えがあるけど、最初から現実設定の物語として観ているところにいきなりファンタジー設定を持ってきてそれをすんなり通そうと思ったら、脚本家に相当の力量が要求されるんだと思う。
割と多くの人はいきなり「実は死んでるけど、現れちゃいました」みたいなことを言われても「はあ?」と感じてしまうと思うんだよな。
そして、割と無粋だがリアルなツッコミを入れたがる。
「なんで、コウイチの死がリカ以外の人間に伝わってなかったの?」とか。
「コウイチは今、ゴーストなのになんで触れるの?誰もかれもの目に映ってるの?」とか。
「記者会見しちゃうの?え?死んでるのに?」とか。
台詞でフォローに入るより前にそっちにいっちゃうんだよな。
昔からファンタジーを書く場合には、現実ものを書くより以上の力量が必要と決まっているのですよ。
脚本書いた人の、日常には起こりえない脳内設定を観客に擦り込む作業が余計に必要なんだから。
今回謎ときはありません。帰ってきた光ちゃん(キュート・ゾンビ)を観て動揺したツバサが、刀を真剣にすり替えたのは自分だ、と自ら告白しますし。
リアル光ちゃんは実は死んでいて「この人は通常光ちゃんと違うの!チャーミングなキョンシーなの!(←なにもそこまでは言ってない)」というのを示す場面では、リカが今目の前にいる人は既に死んでいるのだと証明するために、ナイフで光ちゃんの腹刺したりしてます。そんな、ご丁寧に二度殺さなくても・・・・商売ものの綺麗な身体に穴開けちゃいやん。
ロープ技もなんだか気を失いそうなすごいの・・・片足にだけロープをひっかけてまわっていた。完全に空中で両手放してた!恐い!それ、恐いから!!!!になっていたり。
二幕のショーでは何げにあのソロコン甲冑が御出演していたりしましたよ!うわあ。多分客席のソロコンいった人たち全員「甲冑!!!!」と心の中で思っていたに違いない。
全編見所だらけなので正直ぐったりしてます。ホントに場面場面、思い出す全てが見所だった。
心して観ておいた方がいい、よ。
あれだけのものを、時間がない中で作り上げたってことはすごいことだ。
スタッフ・キャスト含めてまず第一級のエンターティナーだと言って差し支えない。あんなすごいもの、他じゃ絶対に観れない。
あれは、5年の間培ってきたSHOCKがあったからこそ生まれたものだと思います。
まあなんというか。
ショーはほぼ完璧でした。前回までのSHOCKを観ていて、これ以上のショーアップは無理だろうなと思っていたのに、それを上回った。
今回、新作のダンスは割とありがちな感じの振り付けが多くて、サンチェさん頼むよー!と思うことが多かった。しかしその分、バックで踊ってくれてる子たちの粒と結束力ががちっと固まっていました。なんかもー安心して観ていられる。上手いってすばらしー。
あとは、とにかくツバサの出番が前回までの比ではないほどに多く。光ちゃんとのからみもものすごく多く。
・・・・・・ええと、ドームコンの段階で稽古場で二度しか顔を合わせていない錦戸くん?大丈夫か?錦戸くん。
心からそう思いました。
カーテンコールは三回。
全員の紹介。それからカンパニー一度でのごあいさつ。みんなで手を取り合ってらんらんららん、という感じでぶらぶら振ってるのと。幕が降りた後で光ちゃんひとりだけ出てきてごあいさつ。
光ちゃんのテンパり具合も初日ならではですが、ホントにすごかった時よりは大分落ち着いていた。
多分作品の仕上がりのテンパり具合は過去最高であっても、バックがとにかくがっちりしていたからじゃないかなあ、と終わった後に友人達と話をしました。
「俺が全部!一人でやらなきゃ!」的悲壮感は少なくともなかったです。「俺がやらなきゃ!」というのはあっても、ちゃんとMAやABCやキャストやスタッフががっちりサポートしてくれてるっていうことに安心してる感じはしました。
ただし、石川さんとのパーカッションバトルは顔がものっすごく真剣。いい意味でものすごい緊張感がびしびし伝わってきます。二幕のショーは総じてそんな感じ。全部完全な新作だったし、はじめての試みだらけだったからな。
すごく大変な作品で大変すぎてわけわからなくなりそうなんだけど、でも、信頼できる仲間がちゃんと何かあってもフォローしてくれるし盛り立ててくれてるっていう、そういうがっちりとした結束力。
正直、初日でここまで作り上げてくると思っていなかったのでそれはとても嬉しい誤算でしたよ。
拍手もすごかったです。
お客さんの力ってすごいな。
光ちゃんが鳴り止まない拍手にちょっとうるっときてたみたいですよ。緞帳前で話していた顔はホントにほっとしてたみたいだった。
お客さんの反応がどうなるか、相当不安だったらしいですよ。あれを観たら確かに納得するけど。
お話のテーマそのものはよかった。今までよりよりはっきりと「SHOW MUST GO ON」だけに絞り込んで作り上げていたと思います。
テーマに沿った話そのものも悪くはない。今までになくなんというかすがすがしい終わり方のように私には思えます。もちろん、台詞のひとつひとつは本人が関わってるだけあってとてもナチュラル。
だがしかし。欲を言えば、それらをひとつに統括してまとめてすんなり通るストーリーにしたてあげることのできる脚本家はやっぱり必要だな、と思いました。ホントにファンタジーって難しいもんですから。
なんかこー、納得いってるんだけどびみょーに納得いかないみたいな。そんな感じ。
で、今までのSHOCKと比べてどうか、といえば。

私は今回のSHOCK、かなりすきです。あはは、実は一番すきかも。

 

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