■2/15(wed)■


今日は三回目の観劇にして初の二階。
なぜだろう。二階に行くとこんなにも落ち着くのは。それは身に染みついた悲しいサガ。
二階は全体が見渡せるので、そして滅法群舞が美しく見えるのですきです。改めて、帝劇に悪席なしだなあ、と思いました。

ところで話には聞いていたものの、今日初めて目視確認できたのが、ラダーフライング時にリョウも空を飛んでるということで(笑)
さすがに全体を見下ろす席で双眼鏡使わないで観ていると「あ、飛んでる」とわかりました。
なるほどコウイチを支えてるって感じをより強調してるんだなあと思いました。確かにあれだけ仲間と「最期のステージを!」とぶちあげてショーに入るのにも関わらず、いざ幕が上がるとパートナーポジションがすっかり直さんだもんなあ。
あと、ギリシャで最初から上手の位置にアキヤマがぐるぐるのロープ持ってスタンバイしているとか、ぐるぐるも客席上方まで迫って飛んでいるというのは一階の割と後方にいるとイマイチ実感できていなかったのでその辺も「うわあ」と思ったです。
あれはどセンターのA〜B、Cあたりまで?見上げれば逆さ吊り光ちゃんの顔があるというなんか想像の遙か外側をいってる光景が観れるんだなあとぼんやり思った。
舞台の不思議なところは、同じ板の上で演じられている芝居がみんな別の目で見ることになるというところですね。
あんなに狭い空間を共有しているのにそれぞれ見えている風景は違うんだもんな。

そういえば、DVD観たら10日のレポで「変わった」と指摘していた台詞部分は見事にそのままであることが判明し(笑)なんでああいう風に脳内変換されてたんだろうか?と自分で自分が不思議でした。うーん。わからん。
台詞はちょこちょこと随所で変更されてるみたいですが、どうもそんな調子なので確信が持てない自分がおります。てゆーか、自分が一番信用ならない。
ただわかるのは、初日には一幕階段下で銃に撃たれたコウイチをリョウが足蹴にすることはなかったということで!誰がこのシーンを加えようと言い出したのか知りませんがありがとう!いい仕事だ!ああやって足蹴にすることで、現実のリョウのいらだちががっつりリンクしてくるよ!そしてまたリョウの足蹴が日々激しくなっていってる感じで(笑)
素敵。

ところで今日は一幕ブロードウェイのシーンのナオキの登場後、コウイチが上手側に移動したあたりで光ちゃんの履いていた靴の右足片方がすぽーんと脱げてしまいました。
あらー。
光ちゃんは笑ってまるで最初からの振り付けであるかのように片足でぴょんぴょんしてシーンを乗り切り、まるでリカちゃん人形の靴のようにすっぽんすっぽん着脱可能なスニーカーを履いてシーンに合流。さらに、みんなが新聞の絶賛記事に沸いている後ろで右足スニーカーをすぽっと脱いで、電話のように耳にあてて「もしもしー?」のアドリブをかましておりました。
ものすごく簡単に脱げたように見えたけど、けろりとしたものです。
もう、これくらいじゃアクシデントとは呼べないですね。
身体のあちこちからの流血くらいじゃ「ケガじゃない」と言い切る座長ですから。
そういえば昨日もどうやら失敗したらしい、ブロードウェイ最初のリョウのシルクハット出現は今日も(も?でいいのかな?)今ひとつ綺麗に形にならず、コウイチが……いや、光ちゃんがにっこにこしながらそれを見てました。
なんかたのしそーだった。
私、実はこのブロードウェイの最初のところ、リョウとリカのダンスのバックでコウイチと通りすがりのピンクスーツの女性がペアでダンスを踊る構図がすごくすきなんですよ。
手前と奥で、同じ振り付けなのに少し違う味わいというか色違いの相似形って言うか影絵な感じでわくわくする。
大好きなコウイチが他の女性と踊っていることに気付いたリカが、するりとピンクスーツちゃんと入れ替わってリョウがまたそこにからみに行くのもなんかすきだな。
正直なところ、もうウエストサイドの再現はいいんじゃないの?とか思うんですけども(苦笑)でもこのブロードウェイシーンはやっぱり、とても好みのシーンの連続なんで自分のミュージカル好きを思い知らされる気持ちです。
いやホント一幕で「CONTINUE」に合わせて、全員が舞い踊るところとかものすごくすきだ。二幕の晴れやかででもどこか切ない「CONTINUE」もいいけど、希望に満ちて光り輝く未来だけを見つめている「CONTINUE」もいいなあと。

さて、会場のあちこちからすすり泣きが聞こえてくる二幕・リョウの告白シーンですが。
割と皆さん、リョウの本気の号泣にもらい泣きしているというご意見を多く見かけます。確かにここのシーンになると亮くんの迫真の演技はちょっと越えてるなあ、と思います。
特にあそこですよ。コウイチの手を握りしめてその冷たさにはっとなり、自分のやってしまったことの結果にただ涙し、それから改めて「もう一度一緒にステージに立とう」と切り出すところなんかすごいです。
あそこまでやってくれてしまうと後を引き継ぐ翼くんは大変だろうなあ、とか思いますよ。彼は彼なりの演じ方でいいとは思いますが本気の号泣は観た人間の誰の目にも記憶にも焼き付いてしまっていると思いますから。
で、私は。
確か前回のEndless SHOCKでも同じこと思ってたように記憶しているのですが。

なんだってコウイチってこんな目にあわなければいけないのかなあ。

とそちらに思いがいったりするんですよね。
ステージに戻る日を夢みて夢みて、一途なその願いがついに叶わず力尽きて死んでしまったというのに。
そのことに気付きもしないで、オンブロードウェイの劇場ではなく、オフの最愛の仲間達のいる懐かしい場所に魂となって戻って来ちゃうんですよ。一年も大好きな舞台に立てなかったその原因追及をするつもりは全くなくて、また舞台に立てる希望に胸膨らませているんです。
自分がいなくなってもショーを続けていたリョウに会って、またそこから何か新しいステージをやるぞ!と夢でいっぱいになっているわけですよ。
それが。
兄弟のようにも思って一番気にかけていただろう幼なじみに、それまでの自分の姿勢そのものをなじられて(いやまあ、楽屋でのあれは私もコウイチが言い過ぎだよ、と思うけど)、かつ全否定されて、あろうことか大好きな舞台を降りなくてはいけなくなった直接の原因が他でもないリョウだったと知らされるんですよ?
せっかく帰ってきたのに!
さらに、妹のように思っていた(と思われる)リカはコウイチが既に亡くなっているという「どうしろっていうんだ?」という事実を、ナイフで刺すという「何もそこまでしなくても」という過激な方法で知らせるんですよ?
それはいくらなんでもあんまりだ。
ただでさえリョウの告白にショックを受けているのにさらにいきなり自分が「もう死んでいる」と動かぬ証拠と共に知らされなくちゃいけないようなことを、コウイチはしたのか?と。
そこまでひどい目にあうようなことはしてないと思うんだよな。

と、考えているとコウイチですよ。

それでもそれを全部飲み込んで、リョウの告白とか、自分が既に死んでしまっているという事実を思い知らされればやっぱり人間ですから、言葉をなくしたりもするけれどもそれでも最後には逆にみんなを励ます言葉を口にするんですよね。

その哀しいくらいの強さが泣ける。

やっぱりそういう人だからこそ、あのカンパニーの面々はコウイチについてきたのだしコウイチは天辺で輝く一番星だったのだと思います。
きっとリョウも、取り返しのつかないことをしてしまったことを知ったその後で変わらずに一番星であり続ける、生前と変わらぬコウイチの姿を見て改めてそれを噛みしめたんではないかと。
リョウはなんとなくわかっていた感じがする。自分がコウイチに追いつけないということを。ただそれを認めてしまったら自分がだめになってしまうから、ライバルでいたい、あり続けたいと己を鼓舞し続けてきたんだろうなあ、と。
結局走り続ける背中に引っ張られている自分を自覚したくないからこそ、突っ張るしかなかったんだろうなあと思います。
ちなみに、去年のリョウは「リカがすき」なんではなくて「コウイチのことをすきなリカがすき」だったと思うんですが今年のリョウは「リカがすき」なんだなあ、と思いました。おかげで切なさがより深くなったよな。
コウイチはコウイチで。
自分が先頭に立たなくちゃ、という強い信念を持って走り続けてきたけれども最期の公演で思い知るわけですよ。
自分一人では何もできないんだと。
仲間がいるからこそ自分は大好きなステージで輝いていられるのだと。
そのことを知った経緯はあまりにも悲しいけれども、それでもコウイチは前に一歩進んだんだなあと思いました。

何故に走り続けるのか。

今回のEndless SHOCKを上演するに当たってのテーマとして光ちゃんが掲げたその答は実のところ「ステージに立っている自分でも見つけていないのかもしれない」と本日のカーテンコールでご本人がおっしゃっておりました。

光ちゃんは何故にあれだけの大変な内容のステージを続けているのか。

コウイチは何故に走り続けていたのか。

ただ、今よりも前に進むために。
今より先にあるものが何なのかわからないけれども、行かなくてはいけないそこに何があるのかそれを知るために。

今回のEndless SHOCKは去年と大きなストーリー変更があるわけではないですが、光ちゃんの掲げた実に「堂本光一らしい」気のするテーマ部分は去年より確かに際だっているなあと、思うわけです。
まあ、あれですけど。
いろいろ直してもやっぱり展開やストーリーに変なところが沢山残っているのは確かで、その辺りは意識的に勉強して是正していってもらいたいなあとは大いに思ってはいるのですけどね。それは次回の課題。
ショー部分はもう、洗練していく部分については永遠に天井知らずの課題なのだと思うのでまだまだ続くSHOCKシーズンの間にもどれだけ前に進むのかも楽しみにしております。

 

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