■3/29(wed)■
本日千秋楽! 昨夜からの雨もあがり、風は冷たいけれども、桜満開の千秋楽です。
はじまる前は2ヶ月公演って長いよなあ、と思っていましたが、いざこの日を迎えてしまうとなんて「早い」んだろうか、と時間の流れの速さを感じます。
SHOCKシーズンは時間の進み方が違うように思えますね。今日は実は双眼鏡いらずで表情がくっきりはっきりの席だったもので。
基本ぽーっとなっていたのですが、ひとつひとつのシーンを惜しむように大層丁寧に演じていたように思います。
一幕殺陣のところで、ぎろりと客席に向かってひと睨みするところとか、その目を直視してしまって「私、今、この瞬間に死ねる」とナチュラルに思いました。
本当に恐い目をしているのですよ。人を、目で殺せる。確実にいける。
個人的に、とってもスウィートな印象とこの目で殺せるようなギャップが光ちゃんの一番のツボです。
たーまらーん!姐さん、白旗!完敗!
二幕では、これが最後だからなのかなんなのか、一際壊れ果てたコウイチがおりました。
例の戻ってくるところ、形容しようのない
「おぉぅふぅ」(←あえて文字に直すならこういう文字列)
てな、謎の発声がありまして。
ええと、それの出典は一体なに?
コウイチの引き出しの無駄な広さに驚愕するばかりです。
リカちゃんに見つかった時にやおら、床に陸揚げされた冷凍まぐろのようにこちーんとしたまま転がりぐるぐるその場で360度回転しながら「はーいはーい、お魚さんだよう。光ちゃん、お魚さんだよう。笑ってもいいんだよう。お魚さんだよう」
と……時々堂本光一さんという人がとてつもなく遠く思えるのはこんな時でしょうか。
だから、それはどんなキャラなんだい?
去年もこの大漁節な感じで床上360度回転する荒業見せてもらった気がしますが「お魚さん」じゃなかった気がします。
ええと、リカちゃんがお気の毒です。
最終的に一回転した次の瞬間、床に大の字に景気よく転がって「さばいて!」
さらには
「……(コウイチの)開きだ」
……リカちゃんが本当にお気の毒です。
でも、オチを自らつけたよ、この人!
リカちゃんに吹き出された後で、立ち上がって「いやいや、今のは水に流して……」
無理。それ全然無理。無理だよ!なんだよ、お魚さんだよう、って!!!
すかさずリカちゃん「コウイチ……大丈夫?」
と、ごくごくまっとうな反応をしておりました。
そしてさすがアキヤマ、帰ってきたコウイチをみんなで取り囲むシーン、そのまま床に転がり「コウちゃん、さばいてーーー!!!!!」
大爆笑。いい反応だ。さすがだ。
更に。
「お前らそういう歓迎の仕方しかできないのか?」とコウイチが尋ねれば、ヨネハナたちは一斉に「ちゃうちゃう」と片手を振る。「ああ、そうか……こいつ(アキヤマ)だけか!」
全員、うんうんと肯定。
さすがです、このチームワーク。完璧だ。裏でコウイチのアドリブ観ながら一瞬の内に相談していたのか。ところで、本日。
毎回毎回ものっすごく緊張して、そして気合いを入れて臨んでいたと思われるパーカッション対決で、コウイチさんは相当ぐでぐででございました。
去年から含めてこれほどぐでぐでになっていたのを観たことはありません。
いや、びっくりした。
ええと、まず大太鼓の最初のソロでリズムを乱し、慌てて修正しようとしてびみょーに合わないままで大太鼓ソロを終え、バチから持ち替えて台を降りようとして、手にしたスティックの一本をすぽーんとすっとばして床に転がしてしまいました。
なんでもないフリをしながらも「あああああ」と頭の上にマンガの吹き出しが見えるような仕草で無常に転がるスティックを追うコウイチ。完全に拾おうとする手が先走ってました。
こんなコウイチさん初めてです。
さらに、スティックを拾ってからでは最初の一打に微妙に間に合わず、そりゃもーその後のSTOMPみたいにいろんなものをがんがん叩いていくところは悲惨の極みでしたよ。いやあ、叩き損ねるは、ナオキと全く合ってないわ。
あれは最初のタイミングが狂うとあとはもう修正不能なんですよね。大変だった。すごく大変そうだった。
松葉で装飾されたドラムでようやく持ち直しましたけど。
あんなに焦りまくるコウイチは滅多にお目にかかれません。
あはははははは。最後の最後でやっちゃったわ。
ま、これで来年度のEndless SHOCKに於けるパーカッション対決はあるいはそれに代わるものはそりゃもう気合いと魂と技が光るすごいものになると思われます。それはそれで非常に楽しみです。
来年への課題を残した感じで。
最後にナオキと目配せしあうところ、コウイチに向かってナオキが微笑しておりました。
あれが「来年リベンジな」という意味でしたらとても嬉しい。それからスーパースター様の記者会見では
「カツラ何個持ッテルノ?」
と尋ねられており
「五個くらい……って持ってない!」
とやっておりましたよ。今日はやっぱり告白のシーンの間とか、ため息なんかが一際重く心の底に落ちてくるように思えました。
多分出来としては(まーパーカッション対決のあれはおいとくとして)多分他の75公演と変わらない、いつもと同じいい出来のSHOCKなのですよね。
でも観ているこちらとしては、もうこれが「今年のEndless SHOCK」の見納めなんだと思うだけにひとつひとつがよりずっしりと染み込んでくる気がするのだと思います。CONTINUEでコウイチが光り輝くピラミッドの頂点に立って、カンパニーのひとりひとりを見下ろすあの笑顔が、とてもとても素敵でした。
温かくて、大きくて、広い、豊かな、包み込むような笑顔。
それは実は、一幕のMy Pleasureの時に、みんなを見ながらシャンパングラスを手に歌う、HORIZONで手拍子をしながら歌うコウイチの、AMERICAで見せるコウイチの、そして二幕 大桜で真っ白なタキシードで踊るコウイチの、その全ての笑顔に共通する包みこむようなそれと同じ光を帯びているのですが。
最後の笑顔は、ある種超越したような気持ちにさえなるような、眩しい笑顔なのですよね。
あんな顔、SHOCKでしか見られないや。
気がついたらいつの間にか、全員を引っ張る座長であることが当たり前の顔をするようになっていた。
正しく、この人は男前なんだなあと、ピラミッドの天辺で歌うコウイチを見ていると思います。
かっこいいとは、こういうことだ。さて、カーテンコールです。
最初のキャスト紹介のフィナーレの後、座長ひとりごあいさつのところでは、祝!千穐楽
Endless SHOCK
またお会いしましょうの文字がLCDパネルに。
座長のあいさつはひとことひとこと、噛みしめるように。
今回のSHOCKの意図、伝えたかったことを。
「自分自身でも完全に全力疾走しきったなあ」と。
銀テープバズーカの後、全員が並んだところで、一度ご挨拶して締め。
もちろん、今日はこれで終わらせたりはしませんよ。
満場の拍手の後に、再び幕があがるとキャスト全員がにこやかな顔をして並んでおります。
座長の方からキャスト全員を紹介しようということで、
MA、MAD、田畑亜弥ちゃん、石川直さん、ラターニャ(光一座長への熱い抱擁つき)、チームUSA(「なにげに、ほとんどが僕より年齢下です」という座長の言葉に会場どよめく)女性ダンサーズ、男性ダンサーズ、JAC、G−ロケッツの皆さん、そして最後に翼くんの順で。
翼くんからはご挨拶もいただきました。
やはりケガのことに触れていて「沢山の方にご迷惑をかけ、ご協力をいただきました」と申しておりました。
座長曰く、これだけ長い公演ともなるとカンパニーの中にはケガをする人も何人か出てくるそうで、そんな時は必ず「踊れますか?」(←ちょっときばって)
と訊くのが習わしになっているそうです(爆笑)
各セクション、スタッフの方にもお礼。それから我々観客にも
「長い、温かい目で見ていただきたいな、と」
との言葉が。そしてなぜか笑いの起きる会場。多分「長い目」と「温かい目」の微妙なニュアンスに反応したのだと。いや、私も笑ったけど。
名残惜しい座長が少しでも緞帳を下ろすのを引き延ばそうとして、MA……あっきーにあいさつをノベさせます。が、あまりにもかたい内容に客席から笑いすら起きるという事態に。
最後は男前座長の締めの言葉をいただきまして、幕。三度目。
会場のアナウンスに負けずに拍手で座長を呼びました。
出てきた座長は一人っきり。
いつものごとく少し困った顔をして
「……全て話した気がする」
と。
「今日は、去年もそうだったけど千秋楽って感じがしない」
と言ってました。それはなんでなんだろうかと考えれば結局、このSHOCKは「今日は千秋楽だ」とかなんとか考えながら、やれるものではない、ということでした。
それくらい、毎回集中している自分がいた、と。
ひとつひとつが命がけの全力投球。
そのことがなんとなくしみじみと納得できる言葉でした。
そして、あちこちの雑誌のインタビューで「SHOCKとはなんですか?」と尋ねられるそうですが。
その度に光ちゃんは
「いやあ、わかんないねえ」とかなんとか適当に(本人談)応えていたけれども、改めて考えてみれば、自分が自分に厳しくいれる場所。
自分に甘えることなく、自分に厳しく前に進んでいけたらな、と思っている。と。
そして最後に力強く「以上!」と締めてくれました。また来年よりいいものを見せられるように自分自身をスキルアップさせていきたい。本当に見守っていただいてありがとうございました。
とお礼と誓いを述べてくれました。
なんだかひとつひとつの言葉の強さと光にひどく感動した自分がいます。
元々普通以上に自分に厳しい人がなお「自分に厳しくいれる場所」というSHOCKです。私はそういうものを2ヶ月観てきたのだなあ、と。
そして座長が言葉を切った途端、上手下手両側から飛びだしたキャストが光一座長を胴上げ。
きゃーきゃー悲鳴上げながらもとてもとても嬉しそうな光ちゃん。
「いろいろ飛んだりしてるけど、これ(胴上げ)が何よりも恐い」と断言しながらもへろへろろれろれの声で
「ホントにねえ。温かいでしょう?」
と我々観客に笑顔でカンパニーを自慢(笑)した後、大きな声で「SHOCKカンパニーでした!」
と叫んで、幕。
でも、まだ負けません。まだ拍手。
そしたらば、降りた緞帳の前に光一座長がすっと現れてくれました。「もう、帝劇の方は改修工事に入ります。」
と。
そう、SHOCKの撤収が終わったら帝劇は改修工事に入るわけで、この舞台ままでやるのはEndless SHOCKが最後。
次のSHOCKの時には少しだけ新しくなった劇場になるのです。
そういう意味でも少しばかり感慨深いものがあるみたいですよ、座長。
そして「皆さんのひとつひとつの拍手、そういったものがある意味……非常にプレッシャーだな、と」
といいだしますよ、この人。
会場大爆笑。
みんなの期待は、ただ出てきて欲しいというもの、それだけではないのですよ。はい。
コウイチではなくなった、光一さんその人にかける期待、その拍手なのです。
そうしたら、この人言いましたよ。「SHOCKももちろんなんですけど、今年はいろいろ他のことにもチャレンジしていこうと思っていますし、それが全てのものに繋がっていけたらいいなと思います」
聞きましたよ?
いろいろですね?
いろいろなんですね?
まだ私は「い」くらいしか聞いてないですから、この後「ろいろ」分は期待していいのですね?
拍手しちゃうぞ?めいっぱい「ろいろ」分まで、その先も拍手し続けてしまうぞ?
新作も、もちろん。ただし、光一さん的には長い目でゆっくり作り上げていきたいそうです。
で、時間がそろそろ気になってきた光一さん「そろそろ撤収が……早くしないと、秋山に撤収撤収!って怒られちゃう。そんでツバサにうっせえ!って怒られる」
と言いだし、
「じゃあ、そこの場面からもう一度やり直しますか。すみません、屋上のシーンのセッティング……!」
などと言う元気あり。頼もしい。
もちろん、会場中大拍手なわけですが、そういうわけにもいかず。そしてようやく「終わってしまったんだなあ」とようやく実感しだしたそうで。
もう一度「ありがとうございました」と言って光一座長は去っていきました。
和やかで湿ったところなどひとつもない、SHOCKらしい千秋楽でしたよ。
お疲れ様、座長。
お疲れ様、カンパニーの皆様。今年のEndless SHOCKもとても綺麗でした。
また来年、同じであっても異なる新しい華に心から期待しています。