■1/31(wed)■
あー、なんか今日は特に芝居部分がとってもよかったなあ。
一幕の楽屋シーン、コウイチが極力抑えて芝居してたのがすごく効いてたと思います。静かに感情を抑えて諭そうとしてるところと一転かっとなって怒鳴るところとのめりはりがいい感じ。
これよ。
このめりはりが、座長だけでなくその場の全員に欲しい。名指ししちゃうなら、トーマだ。
ここはトーマが場の中心になるところ(というか、Endless SHOCKそのものがトーマが象徴するカンパニーが前を向いて歩き出す物語だから)なので、トーマに特にめりはりが欲しい。怒りのあまりヒートアップして怒鳴るところと抑えて恨みがましく台詞を言うところと。
その違いが欲しい。
トーマが最初からどピークで怒りMAXだと、受ける方もMAXレベルで芝居しなくちゃいけないから、永遠に怒りMAXで怒鳴りあうことになりかねない。
今日は、コウイチが静かに諭すところと怒鳴るところをはっきりとめりはりつけてくれたので、更に言うと冷静に諭す部分を多めにしてくれたおかげで、ちょっといい塩梅に近づいていたと思います。
語尾も吐き捨てるように言うのではなくて、今日みたいに静かにあくまで諭すように言ってくれるとすごく伝わってくるものがあるような気がします。
私はEndless SHOCKのライバル役としては、トーマが一番すきなので特にそのように思うわけです。うん、今日の芝居はすきだな。
ハムレットもとてもよかった。
ハムレットシーンは、悲嘆の独白シーンなので感情が入りすぎるとなんともいえない感じになりそうなんだけど、上手い入り方だったなあと思います。
叫ぶのでなく、嘆く。
嘆きの王子。
今日は座っていた位置のせいか、やけに黒い衣装にかかる手に目がいってしまいました。なんかあの手すきだ。
ロミオもすごくすきな感じ。
私的には一番のツボは
「人は、臨終の際に心が浮き立つという」
の、最初の「人は」の言い方と、いよいよ毒杯をあおる時の
「愛する、君のために」
の「愛する」の言い方なのですが(細かいですか?細かいですか?)「愛する」の声の優しさがたまらないです。
ああほんとに一度シェイクスピアものを全幕通しでやる光一さんが観たい。ものすごく観たい。ああいう時代がかった文語調の台詞や装束がひどくはまる人だから。
芝居の良し悪しっていうのは、もちろん演者の調子と観ているこちらの気持ちの状態とで変わってくるものだと思いますが、ホントに今日の芝居はすきだった。芝居が「いいなあ」と思うと、ぼーっと思い考えることが増えます。
例えばトーマの焦り。
アキヤマの劇場でステージに立っていた時にはきっとトーマは
「いつか追い抜ける存在」
として、コウイチをライバル視していたのではないかなあ、とか。
だからこそ、カンパニーが脚光を浴びたときにリカが「コウイチのおかげ」と言ったことに余計にかっとしたんじゃないかなあ。
それまでだって、カンパニーがコウイチ頼りだったっていうのは、アキヤマの劇場で迎えた千秋楽後のエピソードでもわかることだし、トーマ自身もそのことに対しては多少鬱屈したものがあるけれども、概ね異存はなかったように見える。
で、実際にブロードウェイのステージに立ってみたら、ステージの規模が大きくなった分だけ大きく強く輝くコウイチをトーマは目の当たりにしてしまった。
それに比べて自分は……と思う心が焦りを産み、ステージセットのミスに必要以上に噛みついてしまったりする。
確かに、ミスはミス。プロとしてはあってはならないことだし、怒られても当然といえば当然。なのにみんなは迷惑を「かけられた」いわば被害者である自分を責める。
コウイチは、度量の広いところを見せてあえてステージに対応しきれなかったトーマをこそ責める。
あの楽屋でのいさかいは単なるきっかけにすぎず、そのきっかけが大きな悲劇に繋がるわけだけど、トーマの目の前には常に自分より大きく強く輝くスターであるコウイチがいて、もしかしたら「自分はコウイチに追いつけないんじゃないか」という気持ちを、ブロードウェイに来てはじめて実感していたのかなあ、と。
そんな自分を認めるのはトーマがトーマでなくなることだ、とまで思っていたんじゃないかなあ、と。
そんなことまで、今日は考えてしまったのでした。ところでー。
日曜日に観た時には、二幕の記者会見シーンでコウイチにしつこく
「お腹の傷見せて下さい」
とせまる記者は、外国人ダンサーさんだったのですが、今日は日本人のキャストの方でした。多分、いつぞやのSHOCKで、
「お腹の傷見せてくださーい!」
って、毎回アドリブたっぷりに演じていたあの方だと思うのですが。
あら、いつから変わったのかしら?????
あと、一幕の千秋楽後の楽屋〜屋上までのところで白ジャケットの下に着ているインナーが、白地に金色で描かれた意匠のタンクトップだったのが、二幕でアキヤマの劇場のバックステージに帰ってくる時と同じような、黒で描かれた意匠のついたタンクトップになっていた。
な、なぜだー???一幕で発見した時には「一幕と二幕の衣装が入れ替わったのかしら?」と思ってしまいました。細かいですか?細かいですか?今日は二幕でアキヤマの劇場のバックステージに戻ってくるところ、例によって、リカちゃんにお尻見せたあと、ものすごく細かいはいはい(表現に誇張なし)で進んでたんですが、何事もなかったかのようにきりりとした風情で立ち上がるとリカちゃんに
「(コウイチは)そんな低レベルの人じゃなかった」
とばっさりやられて見事に撃沈してました。
で、へろへろになりながら、ピアノの前の椅子に座ろう……として、椅子ごとこけそうになっていた。
天然。天然ですよ。
リカちゃんこの予想外の出来事に爆笑スイッチ入っちゃってました。気の毒に……笑わせよう、笑わせよう、と画策してることには耐えられてもいきなりこられる天然ものには太刀打ち不可能。
しみじみ気の毒だ。そして今日は、戻ってきたコウイチがアキヤマとマチダさんにも「ナイスアングル」を披露していたわけですが。
アキヤマが「ナイスアングル」に反応して、カメラのファインダーを指で作って、会場からバカウケしてたんでした。そうしたところマチダさんは「ほら、マチダ!ステッキ!」と要求されてうきうきで渡したステッキで踊るコウイチをただ「マチダカンゲキカンゲキマチダ」と観ているだけでなく、ちゃあんと指でファインダー作ってましたよ。
マチダ、ナイスアングル♪今日は1/31
カーテンコールで光ちゃんが
「生まれてから28年と一ヶ月経ったことになります」
とか言ってました(笑)確かに。
確かに、元旦生まれっていうことはそういうことだなあと改めて思ったことです。