第十話「達ちゃんは助けてくれます」 2000/6/14 22:30〜23:30
◆あらすじ◆
輝が倒れた。
達郎は、助かる方法として医師に骨髄の移植を言い渡される。だが達郎の骨髄では輝のそれと型が一致しないことが判明してしまう。
それなら、と輝の両親に頼みに行くものの、母にはすげなく断られてしまう。父親は相変わらずで達郎の訴えに耳を貸そうともしなかったが、不承不承検査に行くことを承知する。
そんなおり、かおりに再就職の話が転がり込んできた。ただし、仕事先は札幌。転居を余儀なくされたかおりは達郎も一緒に来て欲しいと言うが、達郎は骨髄移植の件が落ちつくまでは、輝から離れるわけにはいかない、と告げる。
かおりの大切なものを奪い続けてきた達郎は、かおりと添い遂げる決意はしているものの、それがかおりへの愛情ではないことをかおり自身も気付いてはいた。
病院から一時、達郎が元住んでいた屋上の部屋に帰ってきていた輝は、京子に妊娠の件を聴かされる。そして智也親子が京子を責めるのをかばうのだった。
かおりの出発日と父の検査の日が偶然にも重なり、達郎はせめて見送りに行くことをかおりに約束する。
ところがその当日。
骨髄移植の検査を拒んだ輝の母は病院に来たものの、父親は姿を現さない。気をもんで家まで父親を迎えに行く達郎。そして達郎はそこで、輝と輝の母、そして父の三人が仲睦まじく収まっている写真を発見する。
達郎はもしかして、父は輝のことをずっと思っていたのではないかと思いを巡らせるのだった。
結局かおりの出発に間に合わなかった達郎は、札幌からのかおりの電話を受ける。
そして、ようやく輝と達郎の深い結びつきに気付いたかおりから別離を告げられるのだった。
皮肉にも、無理矢理連れてきた父親の骨髄の型は、輝と一致した。◆感想◆
輝ちゃんの白血病をどうにか治癒させるために、達郎が東奔西走するこの回。しかしながら、私の中で一番印象に残ったのは、かおりの哀しさでした。
もう、かおりはわかりやすいくらいの悪役女なんですよ。
そして自分がやってるのが恋愛における、卑怯技だと知っていてもなお達郎をつなぎとめておきたかった。
いやー。私、先週からかおりすきです。タマキよりもかおり!
めちゃめちゃだめないやな女じゃないですか。でも、かわいい。
あれをかわいいと言わずしてなんとしようか。ああいう風に自分のすきな人に対してなりふり構わずいっちゃうのに、最後のプライドが邪魔してどうにもならん女の人ってすきですね。
あれで役どころがとてつもなくブラックだったら尚、可だったんですが。
別れを告げる電話の場面はよかったです。達郎の背中がね。そしてかおりの言葉を聴く達郎の表情が。
かおりを幸せにしてやりたい、という達郎の気持ちってうそ偽りはないと思うんですよ。
だって、幼なじみじゃないですか。
いつだってすぐ近くで彼女なりのやり方で達郎を心配して、愛してきた。そのことを達郎はわかりすぎるくらい感じ取ってると思うので。
でも、悲しいかな、どこをどうみても達郎のかおりに寄せる気持ちは「男女の愛」じゃないんですよね。
私だって仲のいい男友達には幸福になってほしいし、大切な友達が幸せならいいな、と思う。
達郎がかおりに思っているのはそういう意識なんじゃないかな。大きすぎる負債が達郎に意識とは違う行動をさせているけれども。
達郎とかおりの場合、間に達郎のかおりに対する負い目が入ってしまったことと、日の当たる場所を夢みすぎたかおりと達郎の意識の間にギャップが生じてしまったことが不幸だったんだな、と思います。
ちゃんと愛し合えた可能性だったあったのに。
達郎が必要とし、求めていたのは「今の等身大の自分を受け入れてくれる存在」だったんだろうな、と思います。
作ろうとして努力して構築した「ハウス」じゃなく、そこに存在する「ホーム」。きっとかおりは「ホーム」を得るために「ハウス」を作ることからはじめようとして、失敗したんだろうな、と。
輝に向かって「なんで、病気になんてなっちゃったの?」と言うかおりはすごくかわいかったです。
あれが本音ですよ、言いたくなる気持ちはものすごくわかる。
それでも、自分が一番大切にしていた思い出の品を直してもらって、輝がきてからはじめての「いいこと」を手にしたかおりが「病気、治るといいね」と「ありがとう」の代わりに言う場面はよかったです。
最後に身をひくかおりは最高にかっこいいけど、かっこ悪くて、それがまた私的にポイント高し。
やっぱり、達郎はタマキとくっつくのかなあ。かおりの逆転勝利を実はちょっと夢見てしまったりして。
さて、今回のイチオシシーンは、それとは全然関係なくて京子の病室で輝に達郎が
「京子さんの赤ちゃん無事だったよ」
と告げるシーンです。表情が、すんばらしくいいです。見てね。あれ、本当に肉親に対する表情だと思うから。
そして「しょんぼりだ」に次ぐ私内「天街」名台詞は検査の帰りに父に向かって言った台詞
「おれの写真はないのか?」
・・・実はここで号泣でした、私。
切なすぎるよ、達郎。あの父にどんなに絶望してもまだ捨てきれない。もしかして、もしかして、と望みを薄くつないでる。
なんて血の縁に弱い人だろう。
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