天使が消えた街・少しは冷静な分析とか

さて一晩たってみた。
ので、少しはストーリーその他についてのあれこれなんぞ。

◆ 涙の理由

このドラマ、はじめて達郎が泣きました。
今まで輝との別れにも涙を堪えた達郎が泣きました。
達郎にとって結局の所、父親というのは生きていく支えだったわけで、その原動力が「憎しみ」であったとしてもそれでもすがっていたのは明白なわけで。
以前どこかの放送回の時にも書きましたけど、やっぱりどうしてもたったひとりの親だから、本当に心から憎むことができない、というのはあったと思うんですね。
だからこそ、記憶の底にあった自分と父をつなぐ優しい思い出を宝物のようにして生きてきた。
それが崩れてしまったわけですよ。
そうして、達郎は二度、そして今度こそ完全に父親を失った。子供が親を亡くした、その涙だったんですね。
知りたくなかっただろうし、信じたくなかったのに。
親を亡くした子供はただ泣くより他はないのですね。

◆ 燃えたぐるんぱ

まさか、「ぐるんぱのようちえん」が燃えてしまうとは思わなかったです。
炎の中に手を突っ込んででも輝か達郎は救い出すんではないかと思ったくらい。
でも、燃えてしまいました。
父親の優しい思い出と共に。
あれは、達郎と輝をつなぐ糸だったでなく、達郎と父親をつなぐ糸でもあったわけです。
もう、輝との糸は目に見えるものがなくても断つことのできない強固なものだから、たとえその象徴が燃えてしまっても大丈夫だけど、高野兄弟と父親をつなぐものは二度と戻らない。
そういうことを象徴してたのでしょうか？
兄弟同様、あれが燃えてなくなることが、テレビの画面を通しても信じられなかった私です。

◆ 記憶の糸

驚いたことは、輝が達郎の記憶の底にあったあの「ぐるんぱのようちえん」を渡したその人であり、達郎をかばっていた人物だったことですね。
こればっかりは完全に予測の範囲の外でした。
達郎と輝の年齢差がここで生きてくるわけなんだ。
確かに、あれだけの年齢差があればあの記憶の場面は成り立つし、達郎の中での記憶の掛け違いはありうることですね。
これはもう、ただただ脚本に感心しました。
なるほど、だからあの去っていくシルエットはマジソンバッグを持っていたわけだ。
すんごい納得。

◆ さて、病気です。

タイトルは「天使が消えた街」。過去形なわけですよ。
でもねー。輝ちゃんが急性骨髄性白血病ってのはどうだろう？
まあ、言ってしまえば、この回のなによりも大切なピースは、この場合、父を失った達郎にとって今や本当に唯一の存在となった輝をまた失ってしまうのか？という部分なわけで、それが病気であろうと事故であろうと構わない、といえば構わないわけです。
構わないんですがー。
しかし、どうよ？
そりゃないよー。というのが私の正直なところ。
人の死というのは実際の世の中では何の必然性もなく訪れるものですが、ことドラマにおいてはねー。
光ちゃんもああまではっきり「輝が死ぬってのはつまらない」と公言してますしねー（笑）
今後にまだ少しの望みをつなげる私です。
・・・で、私の中には今、ミもフタもないラストが渦巻いてるわけですよ。ああ、どうなるんだ？
って思ったら、１０話の撮影中の段階で１１話の構想練ってるって？？？おーい(^^;;;;;

◆ かおりの愛情

達郎のかおりに対する気持ちは、男女の愛情ではありません。
これだけは断言できますね。
すごく下世話な話をすれば、あの同棲生活においてもあのふたりは「夫婦」ではないのだろうと思ってます。
達郎が今かおりと共に生活をしているのはいわば輝がしでかしたことに対する「贖罪」でしょう。
そして、それを選んだのはかおり自身。
達郎の自分に対する気持ちが「愛情」ではないことを知っていて、大好きな人が側にいてくれる現実を選んでしまったかおりはほとんど泥沼なんだろうなあ、と思います。
いつも達郎を輝やタマキに盗られてしまうことに脅えている。
スーツを着てだんだん息がつまっていく達郎を解放してあげることができない。
自分が愛する人を窒息させていることから目を背けている。
どうしようもなく、かおりは「女」なのだな、と思います。
達郎に直接あたれば彼がいなくなってしまうかもしれない。殴られ屋の仕事に戻って、自分との生活では観ることのできない生き生きした表情に、寂しい表情で消えていく姿はなんだかかわいそうでした。
うーん。タマキがよい娘だとはわかっていても、達郎にあってるのはもちろんあっちだと思っていても、実は肩入れしたくなるのはかおりだ。
あの情けないどうしようもないところが、かわいいじゃないか。わはは。

◆ スーツです、達郎

メガネにワイシャツ。ああ、スーツ（はぁと）
英語の教材を売り歩くセールスマン。借金現在８００万超。いいじゃないすか。公園で寂しく愛妻弁当（か？）を広げてアリと語らう姿。
借金、帳消しになってなかったのね。
さすがヤクザと言えどもその辺は情に流されずきっちりやってくれてます。
そして、上司は「ショムニ」の人事部の方。
・・・あの人、伊藤さん。結構売れっ子の役者さんだと思うんですが、あの配役はわざとでしょうか？もともと、野球延長がなれけば続きの時間で放映される関係ですからね、「ショムニ」と「天街」
そういえば、最初のころに「ショムニ」で出てきた赤ちゃんの名前が「コウイチ」と言ったっけ。
・・・本当に、偶然なのか？？？

◆ タツロー

輝の京子さんへの想いは完結してしまったのだろうか？
などとツッコミを入れてはいけませんね。
子犬につけた名前はタツロー。
輝が一番一緒にいたい人の名前なんだろうか。
それとも一番一緒にいた、居心地のいい人の名前だからつけたんだろうか。
なんか、もう、それだけで泣けます。
うるる。