あらすじ
現場に「SEND MORE MONEY」という謎のメッセージが残された若い女性の殺人事件、そしと続いて起きたタワーステーションホテルでの男性殺害の事件には、現場付近でのピエロの格好をした人物の目撃、及び被害者がMOディスクを手にしているという奇妙な共通項があった。
謎の多いこの事件は氷室光三郎警視が所属するA級未決事件捜査特別室(通称:A別館)に委ねられることとなる。
さて、彩木くるみは結婚退職間近の交通課勤務の婦人警官。愛する婚約者の伸吾との結婚式の日を指折り数えて待つ日々を送っていた。
そんなある日突然、くるみはA別館への異動を命じられる。
異動と言っても席は以前のまま、A別館の不穏な噂を聴いたくるみは支給された携帯電話を見つめながら戦々恐々となる。
早速かかってきた氷室からの第一報に従い、くるみは駅へと向かった。
第二の指示は「バスに乗ろうとしている客の中にいる四十代の女性を見つけろ」というもの。だが、一見したところそんな女性は見あたらない。しかし光三郎の命によりくるみがバスの乗客についての詳細を語ると、光三郎は中にいた70代と思しきお婆さんこそが変装したターゲットであると告げる。そのまま尾行を命令されたくるみはタクシーで彼女の後を追った。
老女がたどりついたのは大きな日本家屋。氷室はくるみに中に入るように命ずる。時折、周囲の状況を知らせながら進んだその先には地下へと続く階段があった。
たじろぎながらも、言われたままに地下室へ進むくるみ。扉を開けるとそこには、彼女の新しい上司である氷室光三郎その人が待ちかまえていたのだった。
氷室は新しい部下が使えるかどうかのテストをしていたのである。憤慨するくるみに、だが光三郎はまるで取り合おうとしない。
光三郎は、一切地下室から外には出ずそこからの指示に従って動けと冷たく言い放つのだった。
感情が欠落しているかのような態度にいきりたつくるみの元に早速氷室から電話がかかってくる。
第二の殺害現場にいたくるみから現場の詳しい状況を聞き出すと、氷室は警視庁の太田黒が握っていた証拠品のMOを無情にも取り上げるよう命ずる。
MOを持って再びA別館を訪れたくるみはそこで氷室の助手ボブ・加藤を紹介される。
MOの中身を尋ねるくるみに、氷室はMOの中に犯人からのメッセージが入っている可能性が高いと説き、第一の事件現場に残された「SEND
MORE MONEY」の暗号を鮮やかに解き、第一のMOの中身を読むためのパスワードを導き出してみせたのだった。
氷室の頭脳に感心はしたものの、相変わらず冷徹な氷室の態度に憤慨するくるみをボブは優しくなだめてやる。
多少はやる気の出たくるみは自分なりに第二の暗号を解こうと努力してみるが一向にはかどらない。そして、婚約者とのデート中、氷室からの連絡が入った。
指示は「今すぐとある廃ビルに向かえ」というもの。事情説明もされないまま、くるみは拳銃と懐中電灯を手に無人の廃ビルに潜入する。
くるみはそこで、床に落ちていた三枚目のMOを拾った。
警戒しながら進んだくるみは床に置いてある白い箱に気付いたところでピエロと遭遇してしまいパニックに陥る。光三郎の必死の説得にも耳を貸すことが出来ず、銃を乱射するくるみ。そんな中、表で車の急ブレーキの音が聞こえた。
ピエロは道を走ってきた車に轢かれてこときれていた。
ピエロの事故死で解決したかに見えたピエロ連続殺人事件。
だが、そのことは犯人が残した第二のMOに予告されていたものだった。氷室はMOに入っていた時限式のメッセージが示した予告を解析し、警官隊の突入が不可能と判断。さらに、現場に近い位置にいたくるみにひとりで行くよう指示したのだった。
憤慨したくるみは退職を宣言。氷室の元を去った。
だが、事故だと思っていたピエロの死が計画的犯行による殺害だと知ったくるみは心にわだかまりを残していた。
そして。
常連である挙式予定ホテルの喫茶店店員こそがピエロを轢いた男であることに気付くと、再び氷室の指示に従い事件に当たる決意をするのだった。
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