***あらすじ***
師匠の命により、今度はシャリを極めるべくニューヨークへたどり着いた司は、シャリの達人・俵源五郎の店「八十八」がN.Y.スシマフィアに乗っ取られる危機にあることを知る。
源五郎のもとでシャリを極める修行に励む司は、否応なくその対立に巻き込まれていく。
そして、その戦いは意外にも天然自然流の原点へとつながっていくのだった。
***感想***
光一さんのアクションが実に美しいです。
元々スシ王子!というドラマは光一さんのあの体術がなくては成り立たないと思ってますが、映画の大きなスクリーンでもそれはいかんなく発揮されておりました。
身体の動線が非常に美しいのは、ダンスでもよくわかることですがさすがにSHOCKで毎日積み重ねたあの激しい殺陣の技術が見事に生きているなあ、と感心します。
テレビと違ってスクリーンだとその動きがめいっぱい映し出されるので楽しいです。が、反面目が追いきれない(笑)という。
速い動きを追いかける己の動体視力と全体把握のための視野を試されるなあというのが第一印象です。
肝心の話は、テレビシリーズよりはるかに面白かったです。
初期設定であるところの「唐手を極めるために結果としてスシ修行に励む」から「俺のスシを極める」ことに完全に目的意識がシフトチェンジしてるんですが、それはいいのでしょうか?
もともと天然自然流の真髄は、スシを極めることに通じているという設定だからいいのか。でも、師匠の武留守リリーはスシ握らないんだよな。と、物語の冒頭で軽い混乱に陥るわけですが(笑)
「スシ王子!」は、その辺を細かく考えてもしょうがないというか、考えた時点で負けてる気がする話なのでいいやー。
物語の柱は、
・司のシャリを極める修行
・N.Y.スシマフィアから源五郎の店・八十八を守るための戦い。
・最後にびっくり。天然自然流の300年前からの因縁の決着。
の3つ。
シャリを極めるための司の修行の積み重ねは実に「スシ王子!」らしい、ばかばかしくてものすごく生真面目。
スシのシャリを極めるために、田んぼで稲作を実際に行って「米」を知り。真剣を使っての竹割り修行で「空気を包むようにしてシャリを握る」極意に近づくという(笑)
ただ、米を知るための稲作で苦労して育てた稲が実り、源五郎親方とその収穫を祝う司の笑顔はすごくピュアできれいでした。
米は、我々アジアンの命。
それを真実わかっている人間だけが、米を使うスシを極められるのだということなんですが。
映画でもひときわ印象的な源五郎親方の台詞のために、稲作のシーンはあるのだな、と思います。
そして、何事も極めるためにはこつこつ積み重ねるしかない、と、この結論にたどり着くわけですが。
司は天才だけど、それ以上に妥協せずに努力を積み重ねてますしね。コメディーだからそういうの前面にぐいぐい出してはこないけど。そして伝わりにくいけど(笑)
クライマックスは3段階。
スシマフィア・ミスター鱗とのスシ対決。
ミスター鱗を裏切ったペペロンチーノとの対決
はるか昔、天然自然流に煮え湯を飲まされたことを代々恨みに思っていた流派との因縁の対決。
ひとつ乗り越えたと思ったら、また次が来る。
クライマックス3段構造はなかなか見ごたえありました。
スシ対決。
案外、邪道スシのチェゴヤロールとかデカンガンジスロールとか美味しいんじゃないかな、と思うのですが。そして、空飛ぶスシコプターは飛んだ時点で勝ちのような気がする。
だけどスシコプターは見た目がとてもまずそ……そして、なんか飽きそうだと思われます。
司の後だしじゃんけんスシは、客への「愛」があるからいいのです。お店の人の気遣いは、それに気づくとぐっときます。
そこまで含めての「もてなし」ってことなのかなー、と思いました。
ところで、あの審査員たちは眼鼻からビーム出してなかったけど、なんででしょう。スシのわかる人じゃないとビーム出ないのかな?
ペペロンチーノとの対決。
ウオノメ症候群は、魚まみれになると苦しいのか。ということをはじめて知りました。ペペロンチーノの陰謀で大量の魚とともに網にかけられた司がショックで気絶してるのを、そーなのかー、という気持ちで観た。
何が最高って、あれでしょう。
My Answer is NO!
なんちゅー男らしい。てか、かっこいー。ほれぼれ。
そしてやっぱり、ひとり
「お前なんか!」
「よっ!スシ王子!」
「握ってやる!」
でしょう。
何度観ても笑っちゃう。司、掛け声に慣れちゃってないとなんか気分でないんでしょうね。おかしすぎる。
ハルキとの最終対決も見ごたえありました。
やっぱり、動けるって財産だなあ。流れるような動き。でもって基本の型がちゃんと技として繰り出されていることに感動してしまいますよ。
映画の中でもとりわけギャル師匠とのからみシーンがすっごい好きです。
師匠の周囲を飛び交うポップな文字やらハートやらがばかばかしすぎて最高。あと、見た目はかわいこちゃんでも中身が「アレ」だってわかってるからこその司のいただけない顔がすごいツボです。
田んぼに稲妻落とす時に師匠の周囲に飛び交う元素記号もツボ。
平良さんの口調まんまのさとみちゃんとものすごいイヤそうな司の会話の雰囲気もすきだなー。
人の話を全く聞く気のない師匠。逆らえない司。場面は少ないけどいいコンビです。
北大路さんはもう、出てきただけで空気が変わりますね。画面ががぜん引き締まる感じだ。
自然に頭が垂れる師匠オーラです。
また、居合いの型の美しいこと!うっとり見惚れちゃいました。そんな北大路さんによりによってオーバーオールを着せる堤監督はなんて大胆な!と思いました。まあ、CMでは犬になってるくらいだから役柄設定としてオーバーオールなら文句もないのでしょうが。
ムがマだ
は最高です。もちろん
Sushi must go on
なんていうピンポイント直撃の必殺台詞も。あの台詞があそこまでウけるとは思ってもみなかったことでしょう>北大路さん
完成披露試写会での爆笑の渦にさぞかし驚いてらしたに違いない。
ちょっと気になったのは、河太郎の死や流血のシーンがコメディーいっぱいのところに突然割って入ってきたリアルのようでそこだけ全体から浮きあがってる感じがしたところでしょうか。
お気楽に笑ってたところにいきなりリアルに血ぃ吹いたり死んじゃったりとかって、なんか思考がついていけなくてどきどきしてしまいます。
てっきり河太郎は大けがしつつも生きてるに違いないと思っていたのに、司の絶叫の後いきなりお葬式で骨になってたからすごい驚きました。
河太郎って日本のヤクザの息子だし、そんな子を殺したら即刻日米マフィア抗争勃発しますよ!ゴッドファーザーみたいになっちゃうよ!と真剣に思いました。
映画版は全体的に満足度高し。
ただ、いろいろひっかかるところもなきにしもあらず。
そんな感じでした。
それにしても、本当に主役がよく動いていた映画だった。
これは、光ちゃんにしかできない役だ、と思いました。