2002/11/9(sut) 21:00〜 from NTV


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あらすじ

くるみは、大手消費者金融チェーン・フラバローンだけを狙った窃盗団への潜入捜査を命じられる。
氷室は彼らは実行犯というだけで黒幕は他にいると見ていた。くるみの役割は太田黒たちにも極秘でその黒幕を暴くこと。
夜、窃盗団に呼び出されたくるみは氷室の解析したパスワードに従って警報装置を解除するが、その時誤って押してはならないキーを押してしまう。
本来なら警報装置が鳴り響くはずが、問題なく開く金庫に氷室は不審を覚える。
盗みは成功。窃盗団たちとの憩いの時にくるみは彼らに同調していく自分を感じた。
特に同じ女性の不二子の身の上話に強く傾倒していく。
彼女は亡父の背負った借金を返すために窃盗団に参加していた。実家にある思い出のキンモクセイを守りたいその一心で盗みに走っていたのだ。
一方氷室の元にフラバローン社長の射殺死体発見の報が入る。窃盗団が警報装置を銃で壊した際にボックスの中にいた社長を撃ち殺してしまったのだった。窃盗団が盗んでいない防犯ビデオが持ち去られたことに氷室は強い興味を示す。
これ以上の潜入捜査は危険と判断した氷室はくるみに手を引くように命ずるがくるみは聴こうとしない。
冷たい氷室の言葉に、くるみは彼と袂を分かつ。
窃盗団の中には、自分たちが人殺しになったことへの動揺が走ったものの、予定通り今度は昼間に強盗に入る計画を強行することになる。
警察が厚い警備に当たる中、計画は決行された。
氷室に強い態度に出たものの、肝心の金庫を破る方法を思いつかず、やむなくくるみは連絡をとった。
氷室は実は金庫は最初から鍵がかかっていなかったことを見破っていた。
くるみに窃盗団に真相を話して強盗を思いとどまるように指示する。自信のないくるみに氷室は自ら太田黒に配備を解くように懇願するが聞き届けてはもらえない。
くるみは、氷室の誠意に応え自ら説得に努める。
窃盗団の黒幕Xは、フラバローン社長とその専務。ふたりは新聞紙の束を窃盗団に盗ませて三億もの金が盗まれたという架空の事実を作り出し、自分を窃盗団に殺させることで下りる保険金を倒産から逃れるための資金にしようと画策したのだった。
彼らを殺させることだけは回避したものの、くるみの胸には苦いものが残った。せめてもの手向けにくるみは八戸に不二子の実家前を通るよう願い、彼女に愛するキンモクセイの木を見せてやったのだった。

 

感想

1話完結の強盗団編。
私は氷室がこの回感情の移り変わりの描写が細やかだっただけに、ストーリーがどうにも腑に落ちなくてちょっとうむむです。
リモートは設定そのものが「ありえない」話なわけですが、だからこそどうでもいいような小さいところは落とすと話がちゃちになるからやめて欲しいんですよね。
仮にも謎解きやってるんだから、基本は押さえようよ。

・くるみの前任金庫破り担当は、捕まったのか?自首したのか?どちらでもないとしたら、なぜ彼が潜伏先のホテルに残した遺留品から謎の強盗団が割れるのか?

・盗んだお金をなぜ使っていないのか?

・つーか、盗んだ金を預ける前になんで確認しないのか?

強盗団方面の設定がさっぱりわからなかったです。
さらに、夜泥棒に入るのと昼間人がいる時に強盗に入るのとじゃ、全然気持ちって違うと思うんですよねえ。その辺り葛藤とかないのか?とか。
普通、お金が欲しいから泥棒なり強盗なりをするわけで、その割に盗んだお金使ってないし。なんで黒幕に預けてプールする必要があるのかがわからない。
つーか、ルパン元から仲間のこと知ってたんじゃん?ひとりの人間の交際範囲の中でそう都合よく全く接点のない、なおかつ借金に苦しむ人間をかき集められるものか?でも、お互いのこと知らないって言ってるし。
話の大前提が謎だらけなんで入り込めなかったです。
キンモクセイのエピソードは悪くないんですが、今現在の季節とマッチングしてないんで、台詞なり情景描写なりでさりげなくドラマにおける現在が「キンモクセイの咲いている季節」だってことを知らせてくれないと最後の
「窓を開けて」
が宙に浮いちゃうんだよなあ。
なんてことを思う余地があったというのが一番問題かな。

たーだーし。
氷室は別。氷室の心情の細かい描写はよかったです。
くるみとの仲違いのシーンなんて、氷室の隠された過去の一端を見る思いがしましたよ。何があったんだ、氷室!
そこまで強く人間らしい気持ちを否定するその理由は???何か強い理由がなければああはならないわよね。ああ、謎が深まるわあ。興味はつきず。
くるみが絶体絶命のピンチに陥った時に、あの太田黒に「頼む」という氷室もだ!
言葉少ない表情の中で逡巡する氷室。己の無力さを痛感するやるせない表情にウェイブでございます。
人間らしい感情を言葉で否定するのに、本当はちゃんと人間。前半と後半の氷室の言動の矛盾がそのまま氷室光三郎が抱えている内面の矛盾そのものなんですね。
怒鳴る氷室。氷室が怒鳴るのってくるみが危機に陥った時だけなんですよねえ。うっふん。
普段の無表情が激するのって素敵。

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